病気の勉強方法 ― 医学生編
医学生は、どのように病気を学ぶべきなのでしょうか?
実際に医師になって臨床に出ると、病態を深く理解していなくても、ある程度の検査や治療はこなせてしまいます。正直、あまり勉強していなくても「何とかなる」ことも多いのです。
しかし、重症例の管理や思わぬ合併症、イレギュラーな症例に直面したとき、病態の理解がないまま対応すると、何が起こっているのか分からないまま“治療をしているふり”になってしまうこともあります。
もちろん、手技を伴わない内科疾患では、病態理解の深さが直接的に治療成績を左右することは少ないかもしれません。
それでも、最適な医療を提供するためには、病気の本質を理解しておくことが不可欠です。
網羅的な勉強に不向きな教材
「UpToDate」は非常に便利なツールですが、医学生が体系的・網羅的に疾患を学ぶという目的にはあまり向いていません。
また、「ハリソン内科学」や「朝倉内科学」も素晴らしい教科書ですが、基礎知識が足りない状態で通読しても、内容を十分に理解するのは難しいでしょう。
医学生におすすめの学び方
私の考えとしては、医学生のうちは基礎医学をベースにして病気を学ぶことを強くおすすめします。
ただ暗記するのではなく、
- 病態生理を理解する
- なぜ症状が出るのかを考える
- 検査や治療の意味を理解する
といった“ストーリーで学ぶ姿勢”が、良い臨床医になるために必要不可欠です。
※注意点:国家試験対策はまったく別物です。しっかりとビデオ講座や国試対策教材を利用して学びましょう。
使用する教材
まず、ベースとなる参考書としておすすめなのが以下の2冊です。
- First Aid for the USMLE Step 1 (2025)
- Step-Up to Medicine (6th edition)
英語の洋書に抵抗があるかもしれませんが、実際には難しい文法はほとんどなく、医学英単語を知っているかどうかが理解の鍵になります。
最初は少し大変かもしれませんが、数週間で慣れます。
これらの本をベースにして、他の教科書や問題集を勉強する際に、気づいたことをFirst AidやStep-Up to Meidicineに書き込むと、知識が体系的に整理できます。
「病気が見えるシリーズ」で基礎固め
日本語の教材では、「病気が見えるシリーズ」がとてもおすすめです。
図やイラストが多く、通読しやすい構成になっています。
このシリーズを読みながら、気になる部分を英語教科書に書き足していくと、理解が深まります。
問題集でアウトプットを
1つの分野を学び終えたら、必ずその分野の問題集を解きましょう。
読むだけではなく、問題演習でアウトプットすることで理解のスピードと深さが格段に上がります。
私は学生時代、アメリカのオンライン問題集であるUWorldを利用していました。
STEP1・STEP2の問題は非常に良質ですが、量が多く、継続には根気が必要です。
1日6〜10時間ほど勉強時間を確保できる人には挑戦をおすすめしますが、そこまで時間を割けない場合は無理に取り組む必要はありません。
英語に慣れるという目的で英語の問題集を使うのも良いですが、CBTや国家試験の問題集でも十分です。
大切なのは、「インプットだけで終わらせず、必ずアウトプットをすること」です。
知識を使って定着させ、学習のコスパを最大化しましょう!
